【統計 小ネタ】視聴率のずれ
今回はテレビの視聴率について。
年末になると視聴率のランキング形式で紹介していく番組があったりしますし、ネットで検索すれば細かい数字とともに紹介サイトがヒットします。(ex. https://tvkansou.info/rekidai2018/ )
ところで、視聴率の求め方や正確さって気にしたことはありますか?
視聴率の調査方法
日本テレビのウェブサイト 日テレ 広告ガイド に詳しい情報が出ています。
機械で測定する方式が2種類と、毎日どの時間帯にどの番組を見たかを手で記録してもらう方式があるそうです。
そして、各地域ごとにこちらに書かれた人数の参加世帯がいるとのこと。
最も大きな調査地区が、関東地区(※東京だけではない)の900世帯です。(表だと600になっている気がしますが…。)
札幌、宮城、福岡あたりもかなりの大都市を抱えていますが、それぞれ200世帯だけです。
視聴率の「誤差」
さきほどの日テレのサイト 視聴率には誤差がある!? | テレビCM検討編 | 日テレ 広告ガイド のほか、視聴率調査を行っているビデオリサーチ社のサイト 視聴率をご覧いただくときの注意事項 | 週間高世帯視聴率番組10 にも書かれていますが、 視聴率の測定には誤差が伴います。
上記サイトの表を見ると分かりますが、例えば関東地区限定の調査であれば、「視聴率10%」と測定されたとき、本当は8%以下や12%以上だった可能性が5%ほどあります。
地方のローカル番組であれば200世帯の調査のこともあるはずなので、そうすると「視聴率10%」は本当は5.8%以下や14.2%以上の可能性が5%ほどです。
ただし、上の計算はあくまで「1回あたりの視聴率が10%だった」ときの話です。1クールを13回の放送としてその平均視聴率をとれば誤差は13の平方根で割った値、すなわち約3.6分の1になります。2クールなら約5分の1です。
地方ローカル番組でも「2クールの平均視聴率10%」はほぼ9%から11%の間に収まります。
ラジオの聴取率と最先端の取り組み
テレビの視聴率の測定に、手作業での記録方式もあると書きました。ラジオは機械測定はされていなくて、測定習慣にやはり手作業で日記をつけてもらう方式で聴取率を測定しているそうです。 ラジオ個人聴取率調査 | コーポレートサイト || コーポレートサイト
今やネットラジオも広まりました。そんな中で、 首都圏ラジオ聴取データ × radikoデータ~推計によるラジオ聴取データの365日化へ~ | ニュース || コーポレートサイト 今の方式ではなく、radiko の聴取データと手作業での日記とを組み合わせた方式での聴取率の計算を準備しているとの発表がありました。
機械学習を使って、radikoユーザーだけが測定対象になることのバイアスを除去するということでしょうか。
感想
毎年視聴率ランキングを目にするわりに、視聴率がどのくらいの規模で計算されるかといったことは考えたことがありませんでした。関東地区でも900人というのは、かなり少ないという印象です。
「○○の瞬間、12.3%!!」みたいに扱われますが、0.1%刻みのランキングは真実を映し出してないかもしれませんね。
テレビと同様、ラジオにとっても聴取率が生命線でしょう。それが通年で測定されていないというのも意外でしたが、たしかに測定が大変だったというのも分かります。大事な指標が機械学習の予測値で良いのかという疑問もありますが、通年で測定できるようになるのは意義が大きそうです。
参考, 利用
- 書籍 「統計学入門」東京大学教養学部統計学教室 編(出版社サイト)
- 書籍 「人文・社会科学の統計学」東京大学教養学部統計学教室 編(出版社サイト)
- 日テレ 広告ガイド
- 調査エリアってどうなってるの? | テレビCM検討編 | 日テレ 広告ガイド
- 視聴率をご覧いただくときの注意事項 | 週間高世帯視聴率番組10
- 首都圏ラジオ聴取データ × radikoデータ~推計によるラジオ聴取データの365日化へ~ | ニュース || コーポレートサイト
- 週間高世帯視聴率番組10
- 2018年ドラマ視聴率ランキング | ドラマ投票所
- radiko(ラジコ) | ラジオがインターネット(アプリやパソコン)で無料で聴ける